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Channel: As an Industrial Counselor ~鬼手仏心
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自分の気持ちの見極め方~気持ちの多面性と向き合う~

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私達の気持ちは、必ずしもただ一つに決まるものではありません。私達の心の中にはあたかも複数の人間が棲んでいるかの如く、色々な考えや意見が浮かびます。丁度、何かのグループがその方向性を決めようと議論しているようなものなのです。

ある時には、Aという意見が優勢となってみたり、またある時にはBという意見が優勢になってみたりという具合で、その時の気分や状況によっても優勢な意見が変わるものです。

特に重大な決断をするとなると、ああでもない、こうでもないという喧々諤々の状態になって、なかなか結論が導き出せないものですね。

しかし、それらはいずれも本当の自分の気持ちなのです。

先ずは様々な気持ちがあるんだなぁという事を認められること、受け容れられることが肝要かと思います。

私たちが、何か新しい事に一歩を踏み出そうとする時、必ずと言っていいほどセットになっているのが「怖れ」という感情です。

新しい何か、特に人生が大きく変わるかも知れないような事柄や、大きなお金が動くような事柄に対しては「怖れ」を伴う事がとても多くなります。

怖れは、自分の心の声として出てくることもあれば、人の言動を通じて出てくる事もあります。

前者は、「こんな私がそんなにうまくできるはずはない。失敗するにきまっている」「両親がきっとそんな事を認めてくれるはずがない」「女房子供を悲しませてどうする」など様々な視点で自分の心に語りかけてきます。

後者は誰かに話をしたときに「そんなこと上手くいくはずないじゃないか」「そんな世の中甘いものじゃないぞ」と言われるような形で現れます。実は、この他人の言動は自分の心の中にある気持ちを相手が口にして、それに心のどこかで「そうかも知れない」と賛同する気持ちが動いて反応しているのです。

私達は気にならない事は何を言われても気に留めませんが気になっている事は、ついつい反応してしまうものです。
そういう意味では、前者も後者も自分の中にある気持ちにほかなりません。

怖れは、危険から自分の身を守ろうとしている自分の内側にある一つの側面です。

最近、高層階で生活している子供が、高い所から転落する事故が増えていると報じられていますが、この背景には「高所平気症」とでも言うべき状態があるのではないかと言われています。

子供の頃から高い所で生活していると、高さに対する怖れが鈍化する、あるいは無くなってしまうという事だそうです。

私たちが高い所に立つと恐怖を覚えるのは、転落事故を未然に防止する防衛的な反応なのですね。

従って、怖れる事は、必ずしも悪い事ではありません。しかし、必要以上に怖れると、何もできなくなってしまいます。例えば、自動車事故に遭う事を怖れるならば、外出しないに越したことはないという事になってしまいます。

これでは何もできません。どんな小さな一歩でさえ踏み出す事もできません。

必要以上に怖れているのか、それとも必要な怖れなのかは、怖れと向き合い、その正体を冷静に、客観的に見極める必要があります。思考に捉われるタイプの人は、えてして起こりもしない怖れている事柄が、あたかもかなりの確率で怒るのではないかと捉えがちになります。思考では、最悪の状態を想定して“その時”に備えようという防衛が強く働くので、悪い状態ばかりが想起されるのです。

怖れている事柄が起こるか否かを、ある程度冷静に、客観的にみる方法としてはもし、人から自分が考えている事と同じような相談を受けたときに果たして自分だったらどのように答えるかを考える事も有効な方法の一つです。

やろうとしている事を第三人称に置き換える事で、自身に降りかかる怖れている事柄を緩和して取り扱えるからです。

次に、なぜそのようにしたいのか、という理由についてできるだけ明確にする必要があります。

例えば、「今やっている事が合わないから」「面白くないから」など、今の状況に不満があったり、満足していなかったりする場合や、「もっと楽しい事がしたい」「もっと自分の可能性を試してみたい」と未来を志向している場合があると思います。

前者の場合は、今の状態が嫌だと考えるのではなくて、今の状態で感じる何かが嫌だと考えて理由を探してみてください。未来志向の場合は、新しい一歩を踏み出す事で、どんな感情を感じたいのかを探してみてください。

感情面の理由が見つかると、意外と、なぜそのようにしたいのかがより明確になってきます。

そして、どんな怖れがあるのか、それは妥当か、なぜそのようにしたいのかという材料がそろったら、今度は自分一人で、勧める側役と、止める側役とになって、話し合いをしてみるのです。

場合によっては、椅子などの席を2つ用意して、勧める側役と止める側役それぞれに座る場所を変えて間髪をいれずに議論してみるのです。

相手の手の内は、それぞれが知っています。

そういう形で議論する事で、思ってもみなかったような理由が飛び出してきたり考えが浮かんできたりして、自身の気持ちに正直な結論へと導かれる事がよくあります。

ある程度の結論が出るまで、繰り返してみてください。

そして、新たな一歩を踏み出すにしても、思い留まるにしても、一番大切なものは勇気です。

どちらの選択をするにせよ、自分には勇気があったとご自身で自分の事を褒めてあげて下さい。

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